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トップメッセージ

経営基盤の強化を通じて、中長期での企業価値向上を目指す

人的資本への積極投資で企業価値を高める

昨今は人材への投資によって企業価値の向上を図る「人的資本経営」が注目を集めていますが、当社グループは1990年の創業以来、常に人(従業員)を中核的な資本と捉え、そこに積極的に財務資本を投下することで着実な成長を遂げてきました。今回アップデートした「中期経営方針」においても経営基盤強化の中心に人的資本を位置づけ、投資をさらに積極化していく考えです。
人的資本投資の一環として、2023年4月より、グループ9社の正社員を対象に固定給のベースアップ実施を決定しており、通期で総額約6.8億円の先行投資となります。これにより採用市場での競争力を高め、優秀な人材が集う、さらに働きがいのあふれる組織にしていきます。
給与の引き上げは、短期的には株主・投資家の皆様に還元すべき利益額を減らします。しかしながら中長期の視点で見れば、多くの優れた人材を確保し、その人材が社内で長く活躍することにより、企業の生み出す価値はより大きくなると確信しています。営業利益やキャッシュフローも増え、皆様にもより多くの利益還元が可能となります。さらに業績向上で株価が上昇すれば、保有株式の資産価値も増大するはずです。
このことは実績が証明しています。5年前(2017年10月)、グループ会社5社を対象に実施したベースアップでは月額固定給を20%前後引き上げました。これにより一時的に利益が減る形となりましたが、5年後の2022年9月期には1人当たりの売上が約37%向上し、営業利益は約5.8倍にまで増加しています。このように人的資本への積極投資は、最終的には株主・投資家の皆様にも資するものであることをご理解いただけますと幸いです。

培ったHRテクノロジーを新規事業に活かす

当社グループの人的資本経営の強みは、デジタル技術を駆使したHRテクノロジーシステムをいち早く整備してきたことです。人的資本は無形資本であるためその価値を正確に測定することが難しいと言われますが、当社では独自の人事システムを開発し、人的資本の可視化・定量化を実現しています。これは社員が自律的に互いを評価し合う「360度のピアレビュー評価システム」をベースとしており、個々の社員の客観的評価を定量的に可視化することで、例えばコロナ禍を契機にワークスタイルが在宅勤務に移行しても高い生産性を維持できたことの検証に役立てたり、また先述の一律ベースアップのような大胆な人的資本投資の際も、投資効果を事前にシミュレーションし、その上で判断することができています。
このように会社の成長を支える重要な基盤としてHRテクノロジーシステムをフル活用してきたわけですが、2021年9月期からはHRテクノロジー事業として、この技術・ノウハウの展開を開始しました。いわば保有する知的財産の外販です。中期経営方針では注力テーマの一つに「新たな事業セグメントへの拡張」を掲げており、「HRテクノロジー事業」はこの一環に位置づけられます。独自開発したAIマッチング技術「HaKaSe」を活用したオンボーディングサービス「HaKaSe Onboard」の販売を強化しており、導入企業は着実に増加しています。

グループ理念体系のアップデート

経営基盤の強化策の一環としてもう一つ実施したのが、2022年10月に公表した理念体系のアップデートです。このきっかけとなったのは「現状のビジョンでは複数事業の集合体からなる当社グループの形や方向性が見えにくい」という社外取締役からの指摘でした。
以前までのビジョンを策定した約20年前は、事業領域をできる限り広く探索していきたいとの思いから、敢えて抽象度の高い文言を選びました。しかし現在の当社グループは、各領域でビジネスの形をある程度確立しており、これからは多様なステークホルダーの理解を得るためにも、より具体性と“手触り感”を持った言葉が相応しいと考えました。
新たな理念体系の検討にあたっては、若手従業員から事業責任者、執行役員、社外取締役といった様々なレイヤーから意見や想いを聞き、グループとして目指す理想の姿や実現したい世界観を表す言葉を約1年かけて探りました。策定した新しいビジョンは3つの文節から構成され、いずれも当社が中長期で目指す姿や社会において果たすべき役割を具体的に示すものとなっています。今後はこの理念体系と各事業における成長戦略をより密接に連携させていくことが課題になると考えています。

電通グループとの協業深化でDX支援力を強化

当社グループでは持続的成長に向けた中期テーマとして「ドメインの拡張」を掲げ、各事業の戦略を推進しています。
基幹事業であるデジタルマーケティング事業では、「DX支援領域の強化」が戦略課題です。そこでのポイントの一つは、4年前から推進してきた電通グループとの協業のさらなる深化です。この3年間で電通グループとの連携は着実に進展し、一段階上の事業規模拡大を目指すステージに入ったと認識しています。オンライン(デジタル広告)とオフライン(マス広告)のサービスを統合し、お客様により包括的なマーケティングサービスを提供することで、事業のスケールアップを図っていきます。
もう一つのポイントは、提供するプロダクトやソリューションのラインナップ強化です。広告効果を高めるためのAIプロダクト、顧客企業のユーザデータ基盤を構築するためのエンジニアリングサービスなど、特にマーケティング領域に特化したDX支援によって業界での差別化を図っていきます。

独自の強みを活かして保有IPの価値を高める

メディアプラットフォーム事業では、IPプラットフォーム事業(旧 マンガコンテンツ事業)の成長加速を目指します。そのポイントは当社グループが保有するIP(知的財産)の価値をいかに高めるか、という点にあります。当社グループは、コンテンツの作り手である作家やクリエイターが集う「スタジオ」を核とする独自のエコシステムを持ち、そこから生み出されたオリジナルのIPをメディア、電子書籍や紙の単行本、関連グッズ、動画配信サイトなど、自社メディアを含む多様なメディアに幅広く展開していくことのできる垂直統合モデルを強みとしています。今後はスタジオ体制とプラットフォーマービジネスをより緊密かつ統合的に推進することで、さらに多くの接点でユーザの体験価値を高め、保有IP資産価値の最大化を図っていきます。
そこで今後の大きな鍵を握ると考えているのが「Webtoon」への取り組みです。スマートデバイスでの閲覧に適した、縦読み・フルカラーを特徴とする新たなマンガ表現フォーマットであるWebtoonは、世界ではすでに5,000億円程度の市場規模があり、関連サービスも含めた市場規模は今後7年で約8倍になると予想されています。制作プロセスの面ではマンガの隣接領域であり、これまでマンガコンテンツで培ってきた強みとノウハウを活かしてこの高成長市場でのプレゼンスを高めていこうと考えています。

ベンチャーマインドあふれる企業集団としてさらなる高みを目指す

当社グループは、30社以上から構成される企業集団です。グループミッション「ひとりひとりのアントレプレナーシップで世界を元気に」が示すように、グループの各企業はそれぞれが確固たるアイデンティティを持って各々のお客様と向き合い、自社の提供価値の最大化に努めています。この自律分散型の組織運営が当社グループの大きな特長であり強みであると私は考えています。
今回リニューアルした理念体系は、この自律分散型組織の強みを活かしつつ、グループ全体で同じ未来を目指していくための包括的な指針、拠り所になっていくはずです。これからも私たちはベンチャーマインドあふれる企業集団として、事業ドメインをさらに広げるとともに、より高い提供価値と企業価値を追求し続けていきます。当社グループの未来にどうぞご期待ください。