概要
AIを用いた入社後のパフォーマンスを予測するシステム
当社では独自の育成方程式をベースに、どんな人がどんな環境でどんなパフォーマンスを上げたかを定量的な情報として蓄積を続けています。採用活動においても、これらのデータと、2009年より採用活動を通して蓄積した100項目×約6000名分のデータを用いて、パフォーマンス予測モデルを設計し応募者の未来のパフォーマンス予測を行い、採用判断に活用しています。予測結果は「パフォーマンス可能性」「定着可能性」「パフォーマンスの仕方」の3点であり、それぞれAIや統計分析で算出されます。中でも「パフォーマンス可能性」に関しては、運用から3年が経ち、実際に新卒社員の早期戦力化を確認しております。これにより、入社後の早期戦力化の観点において、AIによる判断は人が判断するのと同等以上の予測精度だということが証明され始めています。
取り組み内容
採用活動の情報と入社後のパフォーマンスデータを解析し、モデルを構築
採用活動においては、応募者の「個性」「取り巻く環境」「行動」を中心とした情報を取得し、入社後のパフォーマンスを予測しています。具体的には、パーソナリティ診断やエントリー時のアンケート、過去の行動履歴など、約100項目を使用し、応募者のパーソナリティを予測、その精度の検証を行っています。
パフォーマンス予測モデルの構築にはAIを利用し、ベイズ統計、ロジスティック回帰分析などの統計手法を用いています。当社独自で運用する360度マルチサーベイで取得したスコアを「パフォーマンス」として目的変数に設定し、どの因子がパフォーマンスに大きく影響しているのかを分析しています。そこから、大きく影響を与える因子を抽出し、パフォーマンスを予測するモデルを導き出しています。これにより、応募者の入社後のパフォーマンスを定量的に予測することができます。
検証結果
AIの評価が従来の面接評価と同等以上の精度に
パフォーマンス予測モデルの精度を検証するために、人間の面接官の評価とAIの予測モデルの評価の比較を行っています。入社後にパフォーマンスを発揮する確率が高い順に「◎」「○」「△」の3グループに分け、入社後実際にどの程度が早期戦力化したかを、サーベイスコアをもとに検証を行いました(当社では1年目のサーベイスコアが一定の数値を超える社員のことを「早期戦力化人材」として定義しています[1])。
検証結果として、双方の「◎」と評価した人材の、入社後の早期戦力化のレートを比較すると、人間による評価では72%[2]、一方、AIによる評価では78%[3]でした。この結果から、AIによる人材の評価は人間のそれと同等もしくはそれ以上の精度を持っていることが実証できました。
1:3年間在籍した09~13年卒(N:187)のデータにおいて、1年目の平均スコアが「2.5」以上だった人材の約80%が3年目に戦力化していた(「2.5」未満ではその半分レートの約40%に低下する)ため、1年目の平均スコアが「2.5」以上の人材を早期戦力化と定義
2:2015年・2016年の新卒者(N:112)に対して面接官の評価と早期戦力化の関係性は「◎:72%」「○:76%」「△:53%」だった
3:2015年・2016年の新卒者(N:112)に対してAIの評価と早期戦力化の関係性は「◎:78%」「○:62%」「△:56%」だった
関連情報
📄 セプテーニグループ デジタルHRガイドライン
「個人情報の取得と利用目的」
📄 Human Capital Report -No.28/2018.7.12
「AI導入が採用活動と人材育成に及ぼす影響の検討」
📄 Human Capital Report -No.30/2019.10.1
「オンラインリクルーティングにおける採用精度の検証」
📄 Human Capital Report -No.30/2019.04.26
「NPS®を活用した「活躍・定着」定量化の検証」
📄 Human Capital Report -No.17/2017.7.10
「360度マルチサーベイによる成長度合の測定方法に関する検証結果」